ぼくがこわしたたいせつなもの


からくり時計に酔ってしまった
子どもだましだって気づいてたよ
見事に崩壊した ぼくがこわした
割れ目から あめ玉がたくさん転げ落ちた

ぼくはピンクのいちご味を
口の中に投げ入れた
ごろごろと転がるのが嫌で
がりっと噛んで砕いてしまった

ぼくがこわしたもの
それはひとつじゃない
くりかえし くりかえし
うまれたものはすぐさまこわした
よろこび いかり たのしみ かなしみ
すべてこわしたらなくなった
なにも なくなった

やめなさいってみんな言う
ぼくはまたこわしてしまうのかな
みんなは愛想をつかすよ
その前にどうにかしなきゃ
あまったれるのはやめて
こわすのはもうやめて
たいせつにしなきゃ
やりかた わからないけど
みんながおしえてくれるって
まだわらえているから
まだないてくれるから

ごめんなさいなんて
言わなくていいように
なにかを だれかを
たいせつにあいそう

うまれたからにはだれだって
しあわせになりたいんだ