虚脱


壊さないで
壊れないで
どうか、

そのまま が
一番難しいことを
君は知っていた
君は知っていたんだ
ずっと昔から
僕より先に

死にゆく、
そのことを
君は知っていた
君は知っていたんだ

その指先が鍵盤に触れた時
軽い音がした 濁った白の
君の瞳が 僕を見ることは
ないだろう
ないんだ 一度も