6月の雨


6月の雨だけは、好きになれないと君は言う


灰色の世界
色とりどりの傘が舞う
弾く雨音
きらめくメロディだけが欠けている

人混みの中を駆けていく
足音がやけに響いて
不協和音を奏でている
ずっしりとした足取りで

アスファルトに
水たまりが描かれる
飛び跳ねる術を知らない
うつろな目をした空が映る

止まない雨が降り注ぐ
この街に奇跡は訪れない


6月の雨だけは、好きになれないと君は言う
僕は、俯くように頷いた