夜の底


壊れてしまってよかったのに
ぱちぱちまたたくビルの明かり
風にさらわれてしまった
野良猫の叫びがきこえる

どうなったっていい
転がされて
時に流されずに
生きている

ひとりの人が集まって
傷を舐めあうこともなく放つ
かなしみが満ちている
さみしさが穴を開けて
月がぽっかり顔を出す

夜の底には
吸い込まれるなにかがある
渦になって星が消える
それでも輝き続ける絶望


消えはしない命を
僕らはただ持っている