うたたね


あなたは他の誰よりも
死に近かったのだろう
ただそれだけのこと
ただそれだけのことで
涙があふれてくることに
わたしは驚いた

あなたは眠れないのだとよく言っていた
それは
まぶたの裏に死が張り付いているから
なのだと
わたしが気づいた時には
あなたはとうの昔に知っていて
ふと見たら
あなたはうたたねをしていて
わたしがあなたに近づけないのは
そんな理由があったからだろう


あなたは他の誰よりも
人を愛すことができるのだろう
たったそれだけ
たったそれだけだった
わたしが知っているあなたは
それがすべてだった

あなたがわたしを愛せないのは
そんな理由があったからだろう


ねえ
お願いだから
目を伏せないで


だから
いつも
怖くてしょうがなかった

ごめんね