うたかた


あなたの肩にもたれかかった ら
ぱたり という音を立てて
あなたは倒れてしまった
とても軽い音だった


ソファの上に静寂が流れる
誰もいない
わたしひとりがここにいる
現実 という やけに鉄臭い場所で
息をしている
吸って 吐いて
二酸化炭素を撒き散らしている


頭の中で音楽が鳴り出す
とても悲しい歌みたいだ
気がつくと涙が頬を伝っていて
手で拭っても まるで意味がないくらい
次から次へと涙がこぼれる


ああ
春があなたを迎えに来る
わたしの前を通り過ぎて
ふわりと包み込むように


u ta ka ta ...


眠れ眠れ眠れ
やすらかに
眠れ眠れ眠れ
さいごまで
夢を見ていよう
一生なくさない
夢を見ていよう


そしてまた
逢いに行くよ