クローズ


ぼくの仕事は“クローズ”といって、昼を終わらせる仕事です。

まず、太陽を海の中に眠らせます。
それには時間がかかるので、その間に子守唄をうたいながら星の準備をします。
月は、放っておいても輝きだすので大丈夫です。
星は、ひとつひとつ順番に、指定の場所へはめていきます。
最初に金星をはめます。はまると輝きだします。
はめても輝いてみえない星もありますが、夜になればちゃんと光るので大丈夫です。
そんな感じで作業を続けていきます。
終わる頃には太陽が眠っているので、最後に夜の幕を下ろしておしまいです。

それがぼくの仕事、“クローズ”です。

この仕事はぼくの父から教わったもので、先祖代々続いています。
なので、次にこの仕事を受け持つのは、ぼくの息子ということになります。
男の子でなければいけないということではないのですが、女の子には“オープン”という仕事があります。
“オープン”は“クローズ”とはまったく逆のことをします。
まず、太陽を起こします。
太陽はねぼすけなので、起こすには時間がかかります。
そのあと急いで星をはずします。
そして最後に夜の幕を上げます。
この仕事、“オープン”はぼくの妹が担当しています。
妹は、太陽を起こすのは大変なのよ、でも起きたばかりの太陽はとてもきれいなの!と自慢げに言います。

ぼくはこの“クローズ”という仕事に誇りを持っています。
毎日大変ですが、その分やりがいがあって、とても楽しいです。
“クローズ”は、とてもすばらしい仕事です。
次に生まれてくることがあっても、またこの仕事に就きたいと思います。

ではみなさん、よい夜を迎えてください。

Good night!