からっぽの宇宙


からっぽすぎてびっくりする
自分がここにいなくて
なにか、黒いものに囲まれている、感じ

あ、と声を出しても
闇に吸い込まれていく
物音ひとつしないのに
ひたひたと後をつける、なにか

虚無、とは
宇宙のことも指すらしい
ぼくはここにひとりぼっちでいる
からっぽという宇宙に

なにか、という魔物が
ぼくの心の中に棲んでいて
時々顔を出すんだ
誰かと話した時なんかに
にゅっと出てきて
おまえはつまらない人間だ、と
ぼくをののしって、からっぽの宇宙へ蹴飛ばす

なんで泣くのかって
ぼくにはなんにもなくて
意味も、価値も
ぼくにはなんにもなくて
だけど
君が好きだっていう気持ちを
なくしたくない、
なくしたくないんだ

だから
ぼくはまだ立っていられる