開かずの踏切


なにもきかない
なにもきかないで
ぼくの目だけ見て





遮断機がおりる
ぼくの前で
引き裂かれる
地図の裏側は
ただ白いだけじゃなかった





指のすき間から
光がこぼれた
手にしたものはみんな
安物だったけど
それでも大事にしてた
しがみついていた





疲れたんだって
言って
あれ
元気になれない





踏切の前で
ずっと
考え事してた
あの音は
耳鳴りだと思ってた
なんでもない
いつものことだと思ってた





なにもいらない
なにもいらないから
ぼくを絶望させてくれ





音楽を聴いていた
それだけのこと
それだけのことで
泣けないだろう
普通は





ねえ
おかしいんだ
おかしいことに
今頃気づいた
狂っていたのだ
世界が
ぼくが





踏切の前で
踏切の前で
踏切の前で
ずっと