光の子


あのこの
スカートの
プリーツを
風が
ほどいていく

その
光景を
いつまでも
忘れられない



あのころの
ぼくたちは
輝いていて
まるで
かみさまに
味方されている
ような
そんなふうにも
思えた



いつの日か
転ばなくなって
めずらしく
膝をすりむいた
あの日から
なんだか
おかしくなった



空は
いつも
薄い雲に覆われていて
いつ雨が降っても
おかしくないような日々



そのころに
見た
あの光景は
とても
ふしぎだった



川原を歩いていたときに
あのこがいるのを見つけたんだ
すこし立ち止まって
あのこを見ていると
空が動きだして
雲のすき間から
光がこぼれていって
さらりさらりと
どこからか流れてくるように
風がぼくたちを巻き込んでいく
そうして



あのこの
スカートの
プリーツを
風が
ほどいていく

ぼくはただ
その
光景を
ずっと
見ていた



脳裏に
焼きついていく感覚
すこし
焦げ臭いにおい

ぼくは
ふ、と
目を伏せると
涙が
こぼれた



そして

ぼくたちは
ここで
終わるのではなく
はじまるのだと
気づいたんです