君を忘れる


きみを、
やさしく殺そう
ゆっくりゆっくり
ナイフを抜いてゆくのだ


I LOVE YOU
という言葉は
何の意味ももたなかった
いいや、ちがう
ぼくが逃げていたのだ


忘れるということは
記憶と同じだ
記憶が消えるということは
心の一部がなくなるのだ


傷つくのがこわくて
きみを好きになれなかった

好きになっても無駄なんて
俯瞰しているだけでも痛いよ



きみを、
やさしく殺そう
痛みのないように
そっと
息を引き取って
しまえば、
いい