100円ライター、使い捨て。 あなたが忘れたおとなになるよ。 ぼくは、 変えられない未来を、運命とは呼ばない。 もうなにもできなくなるくらい、使い果たしたい。 それがさいごになってもいい、べつにかまわない。 なにもかも手に入れて、なにもかも捨てられたなら。 それが幸福と呼べないとしても、べつにかまわない。 なんのためなら捨て身になれるか、それを探してる。 ゆめ、なんていう、 現実離れした名前は絶対につけない。 27枚しか撮れないカメラで、 世界を切り取るなんて、 容易いことで、容易いことではないのだ。 ぼくがいま生きている人生を、それに喩えよう。 ぼくがさいごにとらえるものとは、なにか。 いまからそれがたのしみなのだと、口をゆがめて言う。 100円ライター、使い捨て。 オイルがなくなるまで。 壊れてしまうまで。 はたまた落としてしまうまで。 ぼくがいま生きている人生を、それに喩えよう。 ぼくがさいごに火をつけるものとは、なにか。 そしてそれが煙になって消える日、空はどんな色をしているのだろう。 いま、青に染まっていく。 すこしずつ色を変えながら。 じわり、じわりと近づいていく。 (理想の自分、あなた、そして死に) だれかが言う、愛はいらない。 あなたが言う、愛がほしい。 いまはまだ、安っぽいものでいいけど、 年を取った頃には、もうすこし高級でもいいね。 いまのぼくの価値とは、それくらい。 でも、たまには贅沢だってしたい。 そういう年頃なのさ。 わかってくれるかい? 未来のぼくへ。 きみがぼくを忘れていないことを祈ろう。 |