腫れぼったいまぶた、祈る赤い目


かなしくなるから目をつむれない
ぼくはあたたかくなるのを待ってる
それが春でなくてもいい
それが冬であるといい


あなたの声がきこえていても
それがぼくのものではないということ
白々しいほど、見せびらかしてる
あのひとはいつも、着飾ってる


それはそう、
わかっているのだ
だけど
怖いもの見たさ、みたいにさ
目を覆った手の指のすきまから
こっそりと覗いている




ゆうべ、かみさまがあたえた寝床で
みた夢は、嘘っぽいリアルが塗り固められていて
ぼくは幻滅してしまった
おかしいな、これは夢なのに
夢をみることができなくなってしまった
こどもみたいに泣いてみるけれど
なみだはみるみる土の中に吸い込まれてゆき
泣いたことのない、おとなみたいな顔になってしまった


あっという間に
ぼくには欲望が根付いて
息をしている
呼吸が荒いと思えば
目線の先にはあの子がいた
笑っているわけでもなく
泣いているわけでもない
そういう無防備なとこが好き
なんていって
夜はべつの顔


それはそう、
わかっているのだ
ぼくの下心が
見え隠れしているけれど

そう、
わかっているのだ
ほんとうは
みえみえなのだということ




ほんとうは
ぼくが考えることなんて
数えるほどしかない

ああそう
ぼくは頭がよくないので
テスト以外でも0点ばかりとった


ほんとうは
ぼくは黙っていたいだけ
なのに、

わがまま
ぼくを認めてほしいだけ


ほんとうは
たったひとつしかないから

ほんとうは
たったひとつしかない


ほんとうは
たったひとつ
ぼくはその子の
瞳の中に入りたかっただけ




かなしくなるから目をつむれない
きみのまつげがゆれている
今にもこぼれ落ちそうさ
ぼくが、ぼくの、それ


ただしいことなんてなんにもない、
そんなふうに思っている
ぼくが正義の味方だなんて
ばかげたことを思いつくなよ