オレンジと白い手


吐く息が、
薄く、
うすくなっていって、
きみはぼくが死ぬのだと、
気づいたらしい、
ようやく、
ようやくまぶたを閉じれるようになった、
その頃、
きみのナイフが、
太陽を剥いた、
きれいなオレンジ、
白い手、
目が離せなくて、
じりじりと、
脳裏に焼きついていく、
鼻につく焦げた臭い、

――「人違いです」

ぼくは気づいた、
ようやく、
ようやくまぶたを閉じれるようになった、
その頃にはもう、
すべてが灰に、
灰になっていたんだ、