指先


ツキが、
ツキがいないから
ぼくは今日ここで
闇にとけるんだ。


わからないことは、
知っているつもり。
うそだけは、
吐いてもゴミにならない。
すてられない。


あおい、あおい地球。
まわっているのはね、
ぼくじゃなく世界。
世界というのは、
ぼくじゃない誰かと、
ぼくひとりのこと。


ぼくの心臓が
ちゃんとここにあるのならば、
触れたい。
ほんとうは、
さわりたい。
みえるものにも、
みえないものにも。


ツキが、
ツキが戻ってくるまで
ぼくはここにいるよ。
だから、
いつでも戻ってきて
それで
いいよ。

いなくなっても、
さびしくなっても、
たとえ泣いてもね。

ぼくは待っているし、
ぼくの帰る場所は
いつだって、
変わらないんだ。

それは
そこ、
ツキのみえるところさ。