みえない記憶


さびしくなっても
誰ひとり迎えに来ないこの丘で
ぼくは遠吠えをすることもなく
空を見上げて
なに想う


忘れる
忘れたいことを
書き留めておく
消すために
なにひとつ失わず、
なくすように


うつくしくなれない
もう、二度と
ぼくは気づいてしまった
この世界ほど
うつくしくなどなれないのだ
あまりにもちっぽけで
どんなにあがいても
ぼくは屑でしかないのだ

ぼくはいつか
この世界から追放される
それは誰もが知っている
笑っているあなたも、そう
いつかその日は訪れる
それでもきっと、のこるだろう
屑よりもっと小さくなって
みえなくなったとしても
ぼくも、あなたも
のこるだろう


みえない記憶
受け継ぎながら
世界は色を増していき、
世界は色褪せていくのだ