解放


静かの中に身を投じる。
こんがらがっていた糸が、まっすぐになってゆく。
なにもむずかしいことを考えることはない。
自然と一本の線になるのだ。
頭を空にする。ひとつの空間にする。
ここは部屋で、窓もドアもある。
なにも不自由なく、ぼくはただここにいる。
そんなイメージをうかべる。
そして放つ。
ぼくらはとてもわかりやすく、一本の線でできている。
ほどよい力加減で、ピンと張った糸のように。
こんがらがったぼくらもみんな、最初は一本の線だった。
それとおなじように
こんがらがったぼくらもみんな、最後は一本の線となるのだ。