自画像


ぼくはぼくであったことにたびたび感動する。
自分の作品(と呼べないかもしれない)がとても好きだと思う時。
きっとぼくでなきゃいけなかった、ぼくでなきゃ好きでいなかっただろう。
そう思うと、ぼくがぼくであったことにすこし価値を感じるんだ。
それがたとえ他人に認められなくてもね。

自画像はぼくにしかかけない。
ぼくがかくことによって価値がうまれる。
自画像をかいたところで、革命的ななにかが起こるわけでも、ブームになることも、ないに等しいだろう。
自画像は周りに評価されるものではない。
周りに見せることも必要ないともいえる。
しかし自画像をかくことによって、ぼくにはぼくにとっての価値がうまれる。
つまり自画像とは自己満足の頂点なのだ。
けれども作者にとっては価値のあるものになりえる。
そしてそれに救われることもある。
人生で最大の敵とは自分であり、最大の味方であるのも自分だということを、よく知っておくべきだ。
自画像とは自分との対峙であり、鏡ではないということ。
それらを何度もくりかえし確認すべきだ。
最高傑作とはまた別の傑作になるだろう。

最後に。
欠陥品のぼくでも、ぼく自身のための価値ならつくりだせるということを、あらためて知ることができた。この作品に感謝を。
自分のものを好きになれるのは最高の幸せだ。