血潮


なにがあってもきみしかいない
いま、ぼくの生涯がつくられている
かたちを変えてゆく
まだあたらしいいきもの
きみはその、ひとりで
ひとりきりなのに
てのひらふたつもっていた
それが気になっただけだった
すこし目をとじたうちに
消えてしまってもよかった
きみは、ひとりで
ひとつの心臓をもっていた
液体がながれる音
耳をすますたびにきこえた
ぼくも、ひとりで
ひとつの心臓をもっていた
とても自由だった
それでもあたたかな
てのひらふたつもっていた
それだけのことだった

なにをもって、きみというのだろう
しかし
なにがあっても、きみしかいない
それだけはたしかだった
ぼくの核心をついたのは
ただそれだけの真実だった