雑感「キキ」


(できないこともないよ、)
(できないこともないよ、)
ぼくはなにがしたいんだ。

不透明なんて、らしくないね。
眼鏡をはずしたら、世界が見えなくなってしまった、(見えなくなってしまったんだ)。

おいたくはないよ。
おいてかれたくないよ。
ぼくはひとり、ひとりっきり。
これしかないんだ。抱きしめながら、ぼくはひとりでないことを思い出す。
そしてまたひとりにもどる。

これは、白日を妨げる夢魔だろうか。
うつくしくない感情を抱えていることに嫌悪感をおぼえる。
いつかは止む雨も、いつかは明ける夜も、ぼくにとっては同じだった。
砂漠の涙はかれず、白夜はつづいてく。
不定期に襲われる自然現象に、ぼくはおろかな生き物だと気づかされる。
生かされて、いるのだ。
それでも生きているのは確かだった。
にんげんとは、じつに賢明な生き物だ。
笑えてしまうくらい。優秀であったから、ぼくを迷わせる。
すくいようのないぼくをうかべて、なにが楽しいのかわからないけれど笑ってしまおう。笑ってしまおう。
不細工でいい、不器用でも。幸せになってみる価値はある。

すくいようのないぼくはうかんでる。この白日に。うすらいでみえるだけの闇に。ぼくはうかんでる。ぷかぷかと。しずかに寝息をたてて。ただよっている。ふつりと切れるまで。

(できないことはないよ。笑って、)