荒野の果て


ぺけぺけぺけぺけ ぺけぺけぺけ、
もうこの世界は誰の目にも映っていないのかもしれない。
声がしなくとも場所は残っている。
けれども剥がれない記憶が覆いかぶさって、
ほんとうのことを忘れることができない。

骨がうずまっているなか、ひとつひとつ拾っていく。
ここは墓場かもしれないし宝の在り処かもしれない。
過去が新しくなるたびに未来が古びていく。
目をそらしても同じだったし、体には傷が増えていくばかりだった。

言葉をなくさないために日記を書いたけれど、書いたそばから崩れていった。
どこへいってしまったんだろう。
声はない。何もない。
いつしか自分も消えゆくなかで、なにが残せるというのだろう。なにを残したいと思うのだろう。

ぼろぼろぼろぼろ ぽろぽろぽろ、
降り積もるページの数、言葉の数、骨の数、全部ぜんぶゴミになって、みんな土に還っていった。