デッサン


きみの肌が、白く、なめらかに、ぼくを、溶かしてゆく、とろりとろりと、あとから、ぼくを、押して、呼んで、きこえては、笑って、どうしよう、いつからそんな、透き通った、まるで、ここにいないみたいに、ほんとうに自然に、透き通る、一本一本、骨の、かくばった部分まで、まるく、覆いつくしている、よくできた人形のように、すばらしい女神のように、ぼくの目から、ぱらりと落ちる、一枚一枚、落ちて、積もっていく、いつかは消えることだ、すべてがそうなんだ、そんな感覚ないまま、ぼくは生きてゆかなければならないのか、馬鹿らしくて、笑いたくて、壊したくて、泣いた、ぼくにはそれくらいの革命しかおこせなくて、世界はなにも変わんなくて、いまも平和になれず、どこかでは戦争がおきていて、誰かは死んでいる、ぼくはその感覚もなかった、だからぼくにはいつでも希望が満ちていたし、世界は変わらずとも幸せになれた、すべてがすべてではないことを、ぼくは知っていたし、もうほんとうに、地球を何周したって、わかりあえないやつもいたけど、それ含めて幸せになることをぼくは望んだ、求めるのは、たいしたもんだ、遠慮しなくていいんだ、ぼくはそれにつりあうように生きたいと思った、それはぼくにとって素敵で、誰かが、素敵だと思ってくれればよかった、そしてきみだ、きみはいま、かたちがなくなろうとしているが、ぼくにはどうしようもなくきみであった、ぼくときみは別であり、ひとりであり、ふたつになれないことを、痛いくらいに知ることになって、そうしてぼくは、満足した、ぼくはぼくでいられることを、誇りに思いたいと思ったし、きみがきみでありそれがたしかなものだと、ぼくは強く思う、それはとてもすばらしく思えることだ、だからすべてが幸せでなくともぼくは幸せを感じられると思ったし、それはほんとうにそうだと思ったから、ぼくは幸せを感じられたんだ、そうしてうまれることができたんだ。