mizu.umi


みずうみを およぐ
底から数センチ上、
ひとたまりも なく
ひとは 笑うかもしれない
ぼくは無力 だと
ぼくも 知っていたから
あきれることも なく
ただ 光を 見つめる

降ってくるものも あるし
それを 酸素として
いま、生きているけれど
ほんとうのことは 知っている
いつか 取りにいかなければ ならないこと
ぼくを 呼んでいること
でも ぼくは みずうみを およぐ
まだ 鱗は 剥がれきって いないから
鳥にも なれないし
人間にも なれないよ

だけど、
いつか という 時がくることを
ぼくは 知っている から
それまで みずうみを およぐ
ぼくにできることが いま
していること だとしたら
息ができる まだ 息ができている
いいな いいな それが いいな
いいな いいな それで いいな
ぼくは くちぐちに いう
ほんとう、だね

鱗がひかった
ああ、そうか
これも 光だ
ぼくにしか みえない 涙
ひかっているね、世界
まだ、大丈夫 だね きっと