ゆぐむ


椅子が揺れてる
じつに不安定な
音に沈む
いつの間にここにきたの
ぼくの居場所なのに不思議だね
他人行儀に笑ってる

夢をなくしたの
誰がこわしたの
うらまないで うらまないで
目隠ししているのは一体誰の手

どうして、
その先でぼくは口をつぐんだ
つつしまなければいけない
オブラートが時と共に溶けてゆく

  ( どうして
      その手でぼくをすくってくれなかったの、 )


目がさめると悪夢ばかり見るんだ
ぼくをのみこんだまま
凝り固まった赤いゼリー
あなたの発明は冴えていて
あなたの決断は冴えていたよ
有罪のあなたは無罪になり
無罪のぼくは有罪になった
無実は事実になり
そして真実になった

ぼくをだましたんだ
これはあやまりだと何度言っても聞く耳をもたなかった
子どもの声は大人に届かない
あきらめたら忘れられるかい
ちがうだろう、


この行き場のない罪は
誰が背負ってゆくんだろう

ああ、きみか
きみなんだ
ほんとうに、


ごめんね
ぼくを許してね
あのひとの代わりに
ぼくを責めてね

つつんでいたオブラートが
アルミニウムに変わる
ぼくをのみこんだまま
凝り固まった青いゼリー

今日も空は明るい