TomorroW LighT


きみがあるいて渡る歩道は
せまくて車は通れなかった
体温をうしなった右手は冷たく
あたたかい血をわけあたえたかった

今日はもうかえさないよ
やさしい瞳で言った
深海のような濃い色で
うずくまって眠った

あたらしい は
いつからはじめたらいいのだろう
だれも合図をおくらない
信号は消えていた

途絶えた命をいつかは葬る
途切れ途切れになる希望
雲隠れしたの 煙に巻いたの
どちらともなくすりぬけた
逃げ足はいつでも速い
かけっこの優等生だった

“明日もしぼくに会えるならなにを伝えたいか考えておいて”
日記帳にはしおりを挟んでおいた
履歴書はえんぴつで書いた
だってテストなのに
消しゴムだけが許可されて
ボールペンだけはじかれるなんて
おかしいよ
いつだって
まちがいは許されるはずだ

大人びて見える
子どもは胎内に
保存していた食べものを渡す
手つきはまるでロボットみたい

かきこむ速度は保たれて
むせかえるほどの耳鳴りに吐き気がした
なぜだれもとめなかったのだろう
あのとき時計をとめていれば
壁から落ちた秒針だけが
迷子になるはずなかったのに

許されないのだろうか
まちがいは
永遠にまちがいなのだろうか
サインペンで色紙を書く
だれかがぼくを訪れる
心待ちにした日々を