あのこはひかりをもっている


電気が流れた
ついでに光も
目に見えるものは
心を放っている

地球から出て少しした頃に
出会ったあの娘は今
スキップをしながら
街を歩いている

悲しみは消えないし
どうしようもなく悲しみだし
それは真実だけど
悲しみだけじゃないことを
忘れたらいけないよ
悲しみだけじゃ生きてゆけない
誰もがほしい喜びは
希望という光になって
あの娘のもとに届くのだ
そうしてあの娘は街を歩き
人々に分け与えるのだ
格好よいことではなく
偽善でもなく無理やりでもなく
当たり前のことをふつうにやっている
あの娘はやさしいわけじゃなくて
やさしくされたいだけなんだ、と
みんなの笑顔を見たがって
ただそれだけのことで
あの娘の存在は輝いていた

悲しみは消えないし
喜びだけじゃやってゆけないし
面倒になったものだ
でもだからこそ
当たり前が大事で
あの娘が大事なのだ
みんなそうだった
やさしいのが好きだった