義眼


君の偽物の左目が
僕を見た日から
すべてが狂い始めたんだ
踊るように
風が通り過ぎていく
あの人は笑った
気違いだと言った
間違いではなかった
気づいたら刑務所にいるような
心の持ち主だった

考えていること
すべてが筒抜けになっても
僕は愛されるかな
君を愛せるかな
空気がこもって
部屋が腐っていくのを
ただただ見ているだけなら
君の偽物の左目を
奪ってしまいたかった
僕との距離がわからなくなって
不安になってしまえばいいのに
嵐が来たら踊り狂って
眩暈がするほど酔えばいいのに

刑務所の小さい窓からは
小さい空が見える
たまにヘリコプターが通って
空気をかき回している
風が吹き 海は波打ち
木々が揺れ 鳥が口ずさむ
歌はこんなにも悲しいのに
希望が満ちあふれているのは
どうしてなんだろう
どうしてなんだろう
希望ばかりが先立っていく
泣かなくていいのにね
君の偽物の左目から
透明の涙がこぼれていく
どうしてなんだろう
どうしてなんだろう
それすら僕には希望だったよ