心の裏側


ぼくがビルから飛び降りるとき
どうしてか君の顔がよぎった
ぼくが首に縄をかけたとき
どうしてかあなたの顔がよぎった
ぼくがナイフを握ったとき
どうしてかあの人の顔がよぎった

どうしてかひとりになれない
どうしてか邪魔が入る
どうしてか忘れられない
ぼくは、
なにをどうして生きてきたのか

なにもできなくなるよ
どうしようもなくて
なにもできないよ
死ねないなんておかしくて
ばかばかしいほどに
生きてゆけないのに

心の裏側にすむ人は
ぼくを生かそうする
まだ死ねないで
ここにいることを
安心するかのように
見守っている

まだ死ななくてもいいように
ここにいるのだとしたら

まだ死ななくていいように
ここにいられると、したら